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小児がんの症状と早期発見

小児がんの症状と早期発見

小児がんの症状の多くは特異的でなく、つまり、ある症状がみられる場合にほぼ間違いなくがんであるという症状は少なく、むしろ、より一般的な症状で発症することがしばしばです。患者であるこども自身、あるいは両親も気づかない症状を、偶然に受診した医療機関で指摘され、検査の結果、がんと診断されることも少なくありません。がんと診断されたこどもの経過をさかのぼって考え直すと、多くの場合には、2か月以前からがんに関連する何らかの症状があったことに気づきます。このような症状は、その時点では、他の一般的な病気の症状との区別は困難なことがしばしばです。例えば、数日前からの発熱と足の軽い痛みという症状は、かぜなどのウィルス感染、けがなどの原因も考えられますが、白血病でも同じ症状を生じることがあります。

小児がんは早期発見すればより治りやすくなりますか

進行したがん(転移を伴うがん、血液中の白血病細胞数が多い白血病など)の生存率は、進行していないがんの生存率よりも低いことがしばしばです。がんを疑う症状がみられる場合には、早期に医療機関に受診し評価を進めることが必要です。一方で、早期の診断により小児がんが治りやすくなるという明確な根拠は示されていません。多くの小児がんは急激に進行することにより症状を生じることから、早期発見が現実的であるかも明らかでありません。治りにくいがんは、診断の時期などの問題よりも、がん細胞自体の性質に起因するものであり、このようながん細胞は早期に転移を生じるなどの性質を備えているという考え方もあります。

小児がんの症状は年齢によって異なりますか

多くの小児がんは特定の年齢の幅に患者が集中する傾向があります。がんの種類により症状も異なりますので年齢による症状の違いも生じます。また、乳児、幼児では自分の症状を訴える表現方法が限られていること、年長児では必ずしもすべての症状を両親に相談しないことなども症状の違いに関係すると考えられます。小児がんの症状は特別なものでないことがしばしばですので、重篤(じゅうとく;病状が重いこと)な症状、長く続く症状、進行する症状を認める場合には医療機関に相談することが重要です。以下に小児がんの具体的な症状を解説します。

小児がんの具体的な症状

1) 発熱

小児がんの診断時に発熱を伴うことはしばしばです。発熱は必ずしも39-40℃などの高い体温とは限らず、発熱・解熱を繰り返すこともあります。がんの診断につながる他の症状も伴うことが通常です。一般的な評価では原因がはっきりせずに発熱が続くことを不明熱(ふめいねつ)と呼ぶことがあります。こどもの不明熱の原因のうち、がんは10%に満たないとされます。

 

2) 頭痛

嘔吐を伴う頭痛は脳腫瘍の症状としてよく知られています。しかしながら、他の原因でもしばしば経験される症状です。頭痛を伴う脳腫瘍では、何らかの脳神経(のうしんけい)などの異常に関連する症状、あるいは診察所見を伴うことがしばしばです。

 

3) リンパ節の腫れ

首のまわり、耳の後ろ、顎の下、足の付け根のリンパ節が腫れることがあります。リンパ節が腫れていても、その原因ががんであることはごく一部です。リンパ節の腫れの原因ががんであることの証明は、手術により腫れているリンパ節の一部またはすべてを摘出し、がん細胞の存在を明らかに示すこと(病理組織診断:びょうりそしきしんだん)のみにより可能です。このような診断のための手術を生検(せいけん)と呼びます。

 

4) 胸の腫瘤

白血病、リンパ腫、神経芽腫などでは、胸の中、特に左右の肺の間である縦隔(じゅうかく)と呼ばれる部分に腫瘤(こぶ)を生じることがあります。縦隔の腫瘤は、気管(きかん;口から肺につながる空気の通り道)、心臓、脊髄を圧迫することがあります。あるいは胸水(きょうすい;肺、心臓の周囲に水が貯まる状態)を伴うことがあります。このため、息苦しさ、咳、顔のむくみ、動悸、下半身の麻痺などの強い症状を生じることがあります。

 

5) 骨や関節の痛み

痛みは小児がんの症状として頻度の高い訴えです。睡眠を妨げるほどの強い痛みの訴えも少なくありません。骨の痛みは、白血病でしばしば経験される症状です。骨肉腫など骨から生じるがん、神経芽腫などの転移でも骨の痛みを生じます。

 

6) おなかの腫瘤

おなかの腫瘤を伴う小児がんは1-5歳に高頻度です。症状はがんの種類や進行によりさまざまです。明らかな症状はなく、偶然におなかの腫瘤を指摘されることも少なくありません。一方で、急速に増大する腫瘤により、腸や尿路(にょうろ;腎臓から始まる尿の通り道)の圧迫、腹水(ふくすい;腸のまわりに水が貯まる状態)の貯留などを生じて重篤な症状を伴うこともあります。

 

7) 血液細胞の異常

白血病では健康な血液細胞が著しく障害されることがあります。健康な白血球が減少することにより、重篤な感染症、特殊な感染症を生じることがあります。貧血により、顔色が悪い、元気がない、疲れやすいなどの症状を生じます。血小板の減少により、皮膚や粘膜の出血斑(しゅっけつはん)、鼻血が止まらないなどの症状を生じることがあります。

 

8) その他の症状

筋肉から生じる横紋筋肉腫(おうもんきんにくしゅ)では四肢(しし;手や足)、鼻・のどなどの顔面、生殖器(せいしょくき;男児の睾丸、女児の膣など)に腫瘤を生じることがあります。眼の奥の網膜から生じる網膜芽腫(もうまくがしゅ)では、光が当たると瞳孔(どうこう;眼の黒い部分の中央の光がとおる場所)が白く見える白色瞳孔という特徴的な症状を生じます。