1) 発熱
小児がんの診断時に発熱を伴うことはしばしばです。発熱は必ずしも39-40℃などの高い体温とは限らず、発熱・解熱を繰り返すこともあります。がんの診断につながる他の症状も伴うことが通常です。一般的な評価では原因がはっきりせずに発熱が続くことを不明熱(ふめいねつ)と呼ぶことがあります。こどもの不明熱の原因のうち、がんは10%に満たないとされます。
2) 頭痛
嘔吐を伴う頭痛は脳腫瘍の症状としてよく知られています。しかしながら、他の原因でもしばしば経験される症状です。頭痛を伴う脳腫瘍では、何らかの脳神経(のうしんけい)などの異常に関連する症状、あるいは診察所見を伴うことがしばしばです。
3) リンパ節の腫れ
首のまわり、耳の後ろ、顎の下、足の付け根のリンパ節が腫れることがあります。リンパ節が腫れていても、その原因ががんであることはごく一部です。リンパ節の腫れの原因ががんであることの証明は、手術により腫れているリンパ節の一部またはすべてを摘出し、がん細胞の存在を明らかに示すこと(病理組織診断:びょうりそしきしんだん)のみにより可能です。このような診断のための手術を生検(せいけん)と呼びます。
4) 胸の腫瘤
白血病、リンパ腫、神経芽腫などでは、胸の中、特に左右の肺の間である縦隔(じゅうかく)と呼ばれる部分に腫瘤(こぶ)を生じることがあります。縦隔の腫瘤は、気管(きかん;口から肺につながる空気の通り道)、心臓、脊髄を圧迫することがあります。あるいは胸水(きょうすい;肺、心臓の周囲に水が貯まる状態)を伴うことがあります。このため、息苦しさ、咳、顔のむくみ、動悸、下半身の麻痺などの強い症状を生じることがあります。
5) 骨や関節の痛み
痛みは小児がんの症状として頻度の高い訴えです。睡眠を妨げるほどの強い痛みの訴えも少なくありません。骨の痛みは、白血病でしばしば経験される症状です。骨肉腫など骨から生じるがん、神経芽腫などの転移でも骨の痛みを生じます。
6) おなかの腫瘤
おなかの腫瘤を伴う小児がんは1-5歳に高頻度です。症状はがんの種類や進行によりさまざまです。明らかな症状はなく、偶然におなかの腫瘤を指摘されることも少なくありません。一方で、急速に増大する腫瘤により、腸や尿路(にょうろ;腎臓から始まる尿の通り道)の圧迫、腹水(ふくすい;腸のまわりに水が貯まる状態)の貯留などを生じて重篤な症状を伴うこともあります。
7) 血液細胞の異常
白血病では健康な血液細胞が著しく障害されることがあります。健康な白血球が減少することにより、重篤な感染症、特殊な感染症を生じることがあります。貧血により、顔色が悪い、元気がない、疲れやすいなどの症状を生じます。血小板の減少により、皮膚や粘膜の出血斑(しゅっけつはん)、鼻血が止まらないなどの症状を生じることがあります。
8) その他の症状
筋肉から生じる横紋筋肉腫(おうもんきんにくしゅ)では四肢(しし;手や足)、鼻・のどなどの顔面、生殖器(せいしょくき;男児の睾丸、女児の膣など)に腫瘤を生じることがあります。眼の奥の網膜から生じる網膜芽腫(もうまくがしゅ)では、光が当たると瞳孔(どうこう;眼の黒い部分の中央の光がとおる場所)が白く見える白色瞳孔という特徴的な症状を生じます。
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