小児がん情報ステーション

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診断と治療

小児がんの画像診断

はじめに

小児がんに画像診断は不可欠です。

どのような腫瘍なのか、どの臓器から生じているのか、どの臓器に影響を及ぼしているのか、遠隔転移(えんかくてんい)はあるかなど、初期診断、および治療の決定のために必須の検査です。また、化学療法の効果の判定、外科手術治療後の経過観察、治療終了後の再発の有無の評価など、小児がんの診断が確定した後にもさまざまに用いられます。
小児がんに対する主な画像診断の方法には、CT検査、MRI検査、超音波検査、核医学検査があります。

CT検査

CTはComputed Tomographyの頭文字の略称、和名はコンピューター断層画撮影(だんそうさつえい)です。
写真に示すように、ドーナッツのような形をした撮影装置に、スライドする長いベッドがついています。このベッドに寝た状態でベッドが移動し画像を撮影します。近年、CT機器の性能が上がり、1回の撮影はごく短時間(数秒から数十秒)で済むようになりました。通常のレントゲン検査と同様、痛みや苦痛はありません。撮影する範囲などにより、1回のCT検査の中で複数回の撮影を行うことがあります。
撮影部位や目的により造影剤(ぞうえいざい)を使用します。小児がんの場合、腫瘍の存在する部位や大きさ、周囲への広がり、重要な血管などとの位置関係、他の臓器への転移の有無を調べる目的で造影剤を使用する場合が多いです。静脈注射による造影剤の注入を行う場合には、注射をする痛み、造影剤が体内に注入される際に体が熱くなるような感覚を生じることがあります。
CTはオールマイティに頭部、肺、骨、内臓の広範囲の画像情報を、短時間で収集するすぐれた検査ですが、X線を用いる検査でありX線被ばくの問題があります。近年、こども向けにCT撮影のX線量を落として、子供の体格に見合った線量で行う施設が増えています。

国立成育医療研究センターのCTスキャナー ドーナッツのペインティングが施され、こどもたちにも人気です(2009年11月現在)

MRI検査

MRIはMagnetic Resonance Imageの略です。和名は磁気共鳴画像(じききょうめいがぞう)といいます。
MRIは強力な磁石の力を利用し人体を画像化しています。X線を用いないため、小さなお子さんや妊婦にも被ばくの心配はありません。CTに比べ、筋肉や脳脊髄の画像が鮮明です。小児がんの患児には、腫瘍の広がりを正確に判断するため行われます。
MRIの撮影装置はCTと違い、狭いトンネルのなかにベッドがスライドし中に入って検査を行います。このため心理的な圧迫感を感じ、閉所が苦手な方は撮影が難しい場合があります。またCTが短時間で撮影を終えられるのに対し、MRIの撮影時間は長く、20分から1時間以上かかることもあります。撮影時に体が動いてしまうと、画像はぶれてしまい診断に耐えうる画像がとれません。またCTと違いMRIの撮影中は工事現場のような大きな騒音が出ます。このように圧迫感のある狭い場所に閉じ込められること、検査時間が長いこと、検査時に動いてはいけないこと、大きな騒音がでることなどから、乳幼児には鎮静剤(ちんせいざい;眠気を生じる薬剤)を使って眠らせて撮影する場合もあります。
心臓ペースメーカーなど体内の金属性医療機器は、強い磁場で、破損、振動、誤動作、高熱を発する可能性があるため検査はできません。近年チタンでできたMRI対応の外科用機材も普及してきていますが、過去に手術の既往がある場合は検査前に担当医や放射線科の医師、技師に相談してください。                            

化学療法に合併した白質脳症(はくしつのうしょう)

A:頭部CT画像:左前頭葉の色の黒い部分(矢印)が脳の病変.所見が分かりにくい

B, C:頭部MRI画像:CTに比べ病変が白く描出されている.病期の範囲や程度が明瞭で正確な診断が可能

超音波検査

超音波検査にはultrasound、ultrasonography(US)、エコーなどの呼び名がありますが、すべて同じ検査です。プローベと呼ばれるプラスチックにヌルヌルしたゼリーを着けて、プローベと体表を密着させ観察します。くすぐったいですが、ときに強く押されると軽い痛みを感じることもあります。
超音波検査の特徴は、CTと異なりX線を使用しておらず、放射線被ばくがありません。このため乳幼児や妊婦にも繰り返し使用できます。その他心臓など動きのある臓器でもリアルタイムに動的な観察ができること、多少体が動いても大暴れでなければ検査が可能なこと、ドプラと呼ばれるカラー表示で血流のスピードや量の計測ができること、造影剤を使用せずに行えるなどの利点があります。
逆に超音波の欠点は、検査を施行する者の技量の違いで結果が左右されます。また小児がんで重要な脳や肺や骨転移を調べることができず、空気を含む腸管も診断が難しいです。したがってCTと異なり、超音波だけですべての臓器を検索することは不可能です。
小児は体が小さく、腹部の厚みも薄く、体脂肪も皮下脂肪も少ないため、超音波に向いているといわれています。外来や臨床検査室で、最初に行われることが多く、超音波検査で異常が発見され、その後CTやMRIで詳しく再検査という流れも多いです。

ウィルムス腫瘍

A:超音波画像:右腹部に巨大な腫瘍がある.病変が大きすぎて、肝臓の腫瘍か、副腎や腎臓の腫瘍か判断できない

B, C:CT再構成画像:腹部の臓器と腫瘍の関係が明瞭に描出される.右腎臓由来のウィルムス腫瘍と診断できた

核医学検査

シンチグラム、シンチグラフィー、アイソトープ検査やRI(radioisotope)検査などとも呼ばれます。まず、静脈注射などで放射性医薬品(ほうしゃせいいやくひん)を注入します。放射性医薬品は血液の流れに乗って、それぞれの性質により、特定の臓器、がん組織に集まります。一定の時間後、体の外から放射性医薬品の分布を観察し、評価する検査です。がんの種類、検査の目的により使用する放射性医薬品が異なります。
小児がんで関連が深いのは神経芽腫を診断するためのMIBGシンチグラム、腫瘍の骨転移を発見するための骨シンチグラム、リンパ腫やその他の腫瘍の検索のためのガリウムシンチグラムなどがあります。核医学検査は個々の腫瘍を詳細に観察するのではなく、頭のてっぺんから足の先まで、体全体に腫瘍の転移がないか、その有無と分布を観察します。治療後の効果判定にも利用されます。
放射性医薬品を注射するためX線被ばくを生じます。検査中に痛みを伴うことはなく、注射から24時間後や48時間後の追跡撮影を行うことがあります。

 

神経芽腫のMIBGシンチグラム画像 (背中側から撮影した図)

 A:初診時のMIBGシンチグラム画像.胸部の色の黒い部分(矢印)が神経芽腫の原発巣。脊椎、頭蓋骨、大腿骨、骨盤など全身の骨に黒い部分が認められ、骨転移と判定。

B:化学療法後のMIBGシンチグラム画像。全身の骨転移は改善し、黒い部分が減っている。 胸部の原発巣はまだ集積が残っている. MIBGシンチグラムは、診断時の評価にも、治療中、治療後の効果判定にも優れる。