晩期合併症(Late effects)と長期フォローアップ
なぜ、治療が終わったあとも外来通院が必要ですか?
治療終了後の外来通院の主な目的は、再発の有無の確認、治療から長い時間の経過後に生じる合併症の有無の確認です。再発の可能性は時間の経過とともに減少していきます。一方、治療などに関連する合併症は長い時間が経過した後にも生じる可能性があります。このような合併症を適切に診断し、対応するためにフォローアップ外来に受診することが必要です。 |
晩期合併症(Late effects)とは?
がんに対する治療が終了して、数か月、あるいは数年が経過してから生じる健康上の問題を晩期合併症と呼びます。英語での「late effects」という表現が、晩期障害と和訳されることもあります。 |
小児がんを克服した方々の多くは明らかな問題を抱えることなく過ごしています
小児がんを克服した方々のすべてに深刻な晩期合併症の心配があるわけではありません。これまで、明らかな問題を抱えることなく過ごしている方は少なくありません。一方、小児がんは1960年代まで「不治の病」でした。小児がんを克服した方々が治療終了後の長い時間の中でどのような問題を生じるのか、すべてが明らかではありません。 |
なぜ、治療から長い時間が経過した後に合併症を生じるのでしょうか?
小児がんに対する治療はがん細胞だけでなく健康な細胞にも影響を与えます。化学療法や放射線照射による健康な細胞へのダメージが、症状につながり、合併症を生じる時期は治療中、治療直後だけでなく、長い時間の経過後であることもあります。晩期合併症の種類、リスクは、治療内容(薬剤などの種類、量、投与方法)、治療が行われた年齢などにより異なります。 |
どのような晩期合併症を生じるのでしょうか?
成長・発達
治療中に成長や発達に影響を生じることがありますが、治療終了後に徐々に取り戻すことがしばしばあります。一方、化学療法や放射線照射による骨のダメージは骨の成長を妨げ身長の伸びに影響を与えます。また、頭部への放射線照射による下垂体のダメージにより、成長や成熟の調節に関わるさまざまなホルモンの分泌が障害されることがあります。
二次性徴
頭部への放射線照射、精巣や卵巣を含む下腹部への放射線照射、骨髄移植前の全身放射線照射、性成熟に影響を及ぼすリスクの高い抗がん剤治療、卵巣や子宮、精巣の手術などを受けた場合、二次性徴に影響を生じる可能性があります。
心臓・肺
化学療法や放射線照射は心臓や肺のはたらきに影響を及ぼすことがあります。これらの問題は、当初、何の症状もなく隠れていることがあります。心臓や肺のはたらきに影響を及ぼす可能性がある治療が行われた場合には、胸部X線写真、心電図、心臓超音波検査、呼吸機能検査(肺活量など)などによる定期的な評価が大切です。
腎臓
化学療法や放射線照射は腎臓のはたらきに影響を及ぼすことがあります。血液検査、尿検査で定期的に腎臓のはたらきを評価します。血圧の測定も大切です。治療が終了した時点で腎臓のはたらきに問題がなければ、その後問題になることはほとんどありません。
妊娠・出産
治療が終わって元気になれば、将来のことを考えはじめるでしょう。結婚して自分の子どもを育てることを考えるかもしれません。小児がんに対する治療は不妊のリスクを伴うものです。しかし、小児がんに対する治療を経験したすべての方が不妊になるわけではありません。小児がんを克服し、結婚して出産し、新しい家族を築いている方々も少なくありません。不妊のリスクは、疾患、治療によりそれぞれ異なります。
二次がん
小児がんが治癒した後に、別のがんを発症することがあります。深刻な晩期合併症です。抗がん剤や放射線照射によるがん治療が、別のがんの発症リスクになると考えられています。また、がん発症リスクの高い体質が知られています。 |
大人になったら…16歳以降はどうするの?
こども達は、小児がんと診断された時点、治療が行われた時点では幼く、疾患、治療について理解が不十分であることが少なくありません。当事者であるこども自身に、どのような疾患に対し、どのような治療を行ったのか、どのような将来の合併症のリスクがあるのかについて十分な情報を提供し、治療が終わった後の通院の必要性についての理解を得なければなりません。これが成人への「移行期」ということになります。 |
行われた治療、将来の合併症のリスクについて情報を入手しましょう
どのような治療が行われ、どのような将来の合併症のリスクがあるのか正しく理解することが大切です。治療が行われた医療施設に情報提供を依頼しましょう。 |
2009年11月1日更新 国立成育医療センター血液腫瘍科 |