小児がん情報ステーション

会員医療者ページ

疾患別情報

急性リンパ性白血病

略語・別の呼び方は?

英語表記であるacute lymphoblastic leukemia あるいはacute lymphoid leukemia を略してALL と呼ばれます。

どのような病気ですか?

造血前駆細胞(ぞうけつぜんくさいぼう;未熟な血液細胞)から生じる悪性腫瘍を白血病と呼びます。白血病は急性白血病と慢性白血病に分類されます。急性白血病はさらに、急性リンパ性白血病と急性骨髄性白血病に分類されます。
急性リンパ性白血病(ALL)は、造血前駆細胞の中でも、未熟なリンパ球(白血球の成分のひとつ)に由来します。Bリンパ球に類似した性質を持つB前駆細胞型(Bぜんくさいぼうかた)ALLと、Tリンパ球に類似した性質を持つT細胞型(Tさいぼうかた)ALLに分類されます。B前駆細胞型ALLは小児ALLの約80%を占めます。
白血病細胞は骨髄(骨の中にある血液細胞が造られる組織)で増殖するため、正常な血液細胞が造れなくなります。また、骨髄以外にも肝臓、脾臓、リンパ節、脳・脊髄(中枢神経)、腎臓、精巣などに浸潤(しんじゅん;白血病細胞が臓器にしみ込むようにひろがる)します。

頻度は?

急性リンパ性白血病は小児がんで最も頻度の高い疾患です。小児人口100,000人におよそ3人の頻度です。本邦では、年間でおよそ500例の新規発症があると推定されています。どの年齢でも発症しますが、特に3~5歳に多いことが知られています。また、女児よりも男児にやや高頻度です。

原因は?

原因は明らかでありません。未熟なリンパ球に、何らかの理由で染色体や遺伝子の異常が積み重なった結果、白血病を発症することが知られています。

生存率は?

小児急性リンパ性白血病全体で、約98~99%に完全寛解(かんぜんかんかい;顕微鏡など目に見えるレベルで白血病細胞が消失している状態)が、約80%に長期生存が期待されます。診断された時の年齢、白血球の数、白血病細胞の性質、治療への反応の程度などにより、生存率は異なります。

どのように診断しますか?

骨髄穿刺(骨盤の骨などに針を刺して、注射器で骨髄液を吸引する検査)を行い、骨髄液の標本を顕微鏡で観察して診断します。骨髄液の一部を利用して、白血病細胞の表面にある目印(細胞表面抗原/マーカーと呼びます)や染色体・遺伝子の異常を調べます。また、腰椎穿刺(ようついせんし;腰の高さの背骨の隙間から針を刺して検査のための脳脊髄液を採取)により、中枢神経(脳や脊髄)への白血病細胞の浸潤の有無を調べます。

どのような治療が行われますか?

急性リンパ性白血病では、複数の抗がん剤を組み合わせた化学療法と呼ばれる治療が行われます。通常、診断された時の年齢、白血球の数、白血病細胞の性質(表面マーカーや染色体・遺伝子の異常)、治療への反応の程度などにより、治りやすさ(あるいは、再発のリスク)が検討され、3-4段階程度のリスクグループ(低リスク・中間リスク・高リスクなど)に分類、リスク応じた強さの治療が行われます。治療期間は約2-3年です。
再発のリスクが著しく高いグループ(フィラデルフィア染色体陽性、完全寛解に至らないなど)には、造血幹細胞移植が行われることがあります。また、白血病細胞の中枢神経浸潤がある場合や、中枢神経における再発のリスクが高いことが予想される場合には、放射線治療が行われることがあります。

2009年10月28日更新 東京医科歯科大学大学院 発生発達病態学分野 富澤 大輔