英語表記であるPhiladelphia chromosome-positive acute lymphoblastic leukemiaを略してPh+ALLと呼ばれます。
フィラデルフィア染色体をもつ急性リンパ性白血病をPh+ALLと呼びます。フィラデルフィア染色体とは、9番染色体と22番染色体の転座と呼ばれる異常によって生じた小さな染色体です。この染色体上で9番染色体にあるBCR遺伝子と22番染色体にあるABL遺伝子が融合した結果、 Ph+ALL 発症の要因となるBCR-ABL融合タンパク質が作られます。
図 フィラデルフィア(Ph)染色体とBCR-ABLキメラ遺伝子の形成
成人のALLの20-30%を占めますが、小児ではALL全体の3-5%を占めるに過ぎません。
はっきりした原因はわかっていませんが、何らかの原因で白血球にフィラデルフィア染色体が生じると、BCR-ABL融合タンパク質が細胞増殖を促すことなどにより発症すると考えられています。
従来の長期生存率は40-50%と治りにくい病気でした。イマチニブというBCR-ABL融合タンパク質の働きを抑える薬が利用できるようになってから、長期生存率の改善が期待されています。
他のALLと同様に、顔色不良、易疲労感、発熱、皮膚の出血斑、鼻出血、感染症の合併、リンパ節腫脹、腹部膨満、骨痛、関節痛などがみられます。
染色体検査でフィラデルフィア染色体が検出されればPh+ALLと診断されます。染色体検査には通常2-3週間かかるため、多くの病院ではBCR-ABLキメラ遺伝子をPCR法(特定の遺伝子を検出する検査)で検出することにより2-3日で診断しています。BCR-ABLキメラ遺伝子はFISH法(特定の遺伝子などを検出する検査)を用いても検出することができます。中枢神経への浸潤を評価するために、脳脊髄液検査も必要です。
複数の抗がん剤による化学療法と呼ばれる治療が行われます。従来は造血幹細胞移植が必須でしたが、最近では化学療法時にイマチニブというBCR-ABL融合タンパク質の働きを抑える薬を内服することによって、造血幹細胞移植を行わない治療も一部の患者で行われつつあります。イマチニブの副作用が強かったり、効果が弱い場合にはイマイチニブの代わりにダサチニブという同様の作用を持つ薬を内服する場合があります。
2009年10月31日更新 慶應義塾大学医学部小児科 嶋田博之
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