小児がん情報ステーション

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疾患別情報

肝腫瘍

こどもの肝臓にはどのようながんができるのですか?

小児の肝臓の悪性腫瘍の80%以上は肝芽腫(かんがしゅ)と呼ばれる、肝細胞に分化していくべき胎生期の細胞起源の腫瘍です。発症年齢は低く2歳未満が70%以上とされ、低出生体重や、先天的な腹壁異常をもつ症候群などに合併することもあります。小児の肝細胞癌は成人の肝癌に近いもので、幼児期後半以降の高い年齢に多く発症します。この他にも肝未分化胎児性肉腫のような比較的稀な悪性腫瘍や、血管腫、巣状結節性過形成(そうじょうけっせつせいかけいせい)のような良性の病変があります。

どのように診断されるのですか?

肝臓の腫瘍は多くの場合、大きなお腹の膨らみや偶然に腹部腫瘤を触れて気が付かれ、小さな腫瘍のうちに発見されることは稀です。超音波検査やCT、MRIなどで腫瘍の大きさや切除の可能性を詳しく調べます。肝芽腫や肝細胞癌の多くは血液中でAFP(α-フェトプロテイン)という腫瘍により産生される蛋白の値が高くなります。肺に転移しやすく、初めて病院を受診した時にすでに肺転移がある場合も多いので、肝臓とともに肺の画像も調べられます。下大静脈や門脈といった大事な血管の中に腫瘍が進展しているかどうかも切除の可能性を考える上で重要な所見です。

治療はどうするのですか?

肝の悪性腫瘍では手術により腫瘍を全部切除することが長期生存のための必須条件と考えられています。肝臓の手術はどこでも切り込めるわけではなく、それぞれの区域やそこに向かう血管、胆管の枝分かれを考えて、左外側区域切除、左葉切除、右葉切除、拡大右葉切除、三区域切除といった標準術式の中から選択されます。原則的には、はじめに化学療法により腫瘍を小さくして、腫瘍が切除可能と判断されたところで手術をするようになります。また、切除した後に目に見えない様なわずかながん細胞が残った場合にも、化学療法によってある程度はその腫瘍を死滅させることができると考えられています。
化学療法を徹底的に行っても腫瘍のできた位置や進展度によっては切除が不可能な場合もあります。このような場合、遠隔転移がなければ、近年では肝移植も一つの選択肢と考えられるようになりました。世界中で数百例が行われているのみで経過観察期間も短いため、有効性は確立されていません。
肝芽腫では抗がん剤の投与が必須です。用いられる薬剤としては、シスプラチンとアドリアマイシン(ドキソルビシン)、あるいはTHP-アドリアマイシン(ピラルビシン)の併用療法が基本です。この治療で十分な効果が得られなかった場合は、イホスファミド、エトポシド、カルボプラチンなどの併用化学療法、抗がん剤の動脈注入療法、動脈塞栓療法などが試みられます。
大量化学療法の効果は明らかに示されていませんが、通常の化学療法で治癒の難しい転移のある症例などに試みられることがあります。

治るのでしょうか?

肝芽腫では、外科的な切除が可能であった場合の予後は良好と言われます。少数の肺転移を有する場合でも、転移巣が外科的に切除できれば治癒可能です。一般に、早期の場合は90%以上、腫瘍が大きくても遠隔転移のない場合は60%で治癒(長期生存)が見込まれると報告されていますが、遠隔転移のある場合の治癒率(長期生存率)は20%程度と言われています。切除不能例では肝細胞癌、肝芽腫ともに肝移植が考慮されます。しかし、血管などへの腫瘍の進展、遠隔転移の有無によりその適応は限られます。肝細胞癌は肝芽腫よりも抗がん剤の効かない場合が多く、切除不能例ではほとんど治癒が望めません。

治療には合併症があるのでしょうか?

肝切除術の合併症としては、肝臓の断端(だんたん;手術で切除した切り口)に沁み出した胆汁が溜まったり、範囲の大きい肝切除では残した肝臓に向かう胆管の枝が狭くなって黄疸がでることが時に見られます。
化学療法では、骨髄抑制(白血球の減少)に伴う感染症、シスプラチンによる腎障害、聴力障害、アドリアマイシンによる心筋障害、抗がん剤の全てに共通するものとして二次がんがあげられます。これらは骨髄抑制を除けば、必ずしも生ずるものではありませんが注意が必要です。
治療終了後、時間が経ってから腎障害、聴力障害(特に高音域の聴力低下)、不妊、内分泌障害(ホルモン分泌の低下)、心筋障害などが出てくることがあります。これらの障害についての定期的なチェックを行うことが重要です。