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疾患別情報

頭蓋内胚細胞腫瘍

略語・別の呼び方は?

英語表記であるgerm cell tumorを略してGCTと記されることがあります。頭蓋内胚細胞腫瘍(はいさいぼうしゅよう)では、さまざまな性質の腫瘍が混在している場合が少なくありません。約半数はジャーミノーマ(germinoma:胚腫)という腫瘍です。

どんな病気?

小学校高学年から高校生ぐらいの、どちらかというと男の子に多い病気です。視床下部下垂体(ししょうかぶかすいたい)のほか、松果体(しょうかたい)、基底核(きていかく)にも生じます。診断時に複数の病変、脊髄への播種(はしゅ;脳脊髄液を介して離れた部位に腫瘍病変を生じる)を認めることもあります。視床下部下垂体の病変では、成長障害、尿崩症(にょうほうしょう;尿中へ水分の排泄を調節するホルモンの異常により多飲多尿を生じる)、視力・視野障害などがきっかけで診断されます。松果体の病変では、水頭症(すいとうしょう;脳や脊髄の周りを循環する脳脊髄液が貯留し脳室や頭囲が拡大する)、頭蓋内圧亢進(ずがいないあつこうしん;腫瘍などの影響で頭蓋内の圧力が上昇し脳に影響を及ぼす)症状から診断に至ります。

診断は?

頭部のCTやMRI検査で、上記の病変がみつかると胚細胞腫瘍を疑います。腫瘍マーカーであるアルファ・フェト・プロテイン(AFP)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG/HCGβ)検査は必須ですが、これだけでは診断を確定できません。胚細胞腫瘍には、ジャーミノーマのほか、成熟奇形腫、未熟奇形腫、卵黄嚢(らんおうのう)がん、絨毛(じゅうもう)がん、胎児性がん、これらが混合した腫瘍などがあり、予後、適切な治療はそれぞれに異なります。診断の確定には腫瘍の一部を手術により切除(生検)して、腫瘍細胞の性質を詳細な解析による診断(病理診断)が必要です。

リスク・治療は?

胚細胞腫瘍は放射線治療、抗がん剤による化学療法によく反応します。放射線照射とプラチナ製剤と呼ばれる抗がん剤を中心にした化学療法の併用による治療が標準的です。化学療法単独による治療では再発が増加する結果が示されています。ジャーミノーマに対する外科手術は、生検の役割にとどまることが通常です。一方、成熟奇形腫は、化学療法、放射線治療に反応しないため、手術による摘出が必要です。
頭蓋内胚細胞腫瘍の予後、適切な治療は、腫瘍の性質により大きく異なります。播種のないジャーミノーマは低リスク群に分類され、化学療法と放射線治療により良好な予後が期待されます。卵黄嚢がん、絨毛がんの成分を含む胚細胞腫瘍は高リスク群に分類され、強力な化学療法・放射線治療が必要です。大量化学療法が検討されることもあります。この他は中間リスク群に分類され、化学療法と放射線治療が行われます。脳腫瘍の治療においては、腫瘍により、あるいは治療により生じた障害への対応も重要です。ホルモンの分泌障害にはホルモンの補充療法を行います。