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疾患別情報

慢性骨髄性白血病

略語・別の呼び方は?

英語表記であるchronic myeloid leukemiaを略してCMLと呼ばれます。

どのような病気ですか?

フィラデルフィア染色体をもつ慢性骨髄増殖性疾患をCMLと呼びます。
フィラデルフィア染色体とは、9番染色体と22番染色体の転座と呼ばれる異常によって生じた小さな染色体のことです。この染色体上で9番染色体にあるBCR遺伝子と22番染色体にあるABL遺伝子が融合した結果、CML発症の要因となるBCR-ABL融合タンパク質が作られます。

(図Ph染色体1030:フィラデルフィア(Ph)染色体とBCR-ABLキメラ遺伝子の形成)
慢性骨髄増殖性疾患とは、さまざまな血球のもとになる造血幹細胞の異常によって、血球が無制限に増殖する疾患の総称です。
CMLでは、おもに顆粒球と呼ばれる白血球が増殖し、診断時にはほとんど全ての顆粒球がCML細胞になっています。無治療の場合には、数年後あるいは突然、急性白血病に転化(急性転化)して死に至ります。

頻度は?

CMLは小児の全白血病の中で2~3%を占める比較的まれな疾患で、18歳未満の発症頻度は国内で年間約20例です。発症時病期の頻度は、慢性期が90%弱、移行期・急性転化期が10%強です。多くは思春期以降に発症しますが、2~6歳の幼児期発症例もまれではありません。

原因は?

電離放射線が明らかな環境要因として知られていますが、ほとんどの場合、原因は明らかでありません。何らかの原因で、造血幹細胞にBCR-ABLキメラ遺伝子が生じ、免疫監視機構から逃れ、さらに遺伝子の異常が積み重なった結果、CMLを発症すると考えられています。発症まで約6~8年かかると考えられています。

生存率は?

イマチニブというBCR-ABL融合タンパク質の働きを抑える薬が利用できるようになってから、慢性期で発症した場合、小児では90%前後の患者に長期生存が期待できるようになりました。移行期・急性転化期で発症した場合には同種造血幹細胞移植が必要になりますが、小児では80%以上の患者に長期生存が期待されます。

どのような症状がみられますか?

慢性期の患者はほとんどが無症状です。偶然に、著しい白血球数の増加、血小板数の増加、脾臓の腫大を指摘されて診断されることも少なくありません。移行期・急性転化期の患者は発熱、倦怠感や骨痛など急性白血病と同様の症状を認めるようになります。

どのように診断しますか?

血液検査でCMLが疑われた場合、TMA法(Amp-CML)、PCR法、あるいはFISH法と呼ばれる特定の遺伝子の異常などを検出する検査法でBCR-ABLキメラ遺伝子を証明することによって確定診断できます。病期診断が治療選択に重要で、骨髄検査が必要になります。

どのような治療が行われますか?

まず、イマチニブというBCR-ABL融合タンパク質の働きを抑える薬の内服を行います。慢性期の場合には、イマチニブ単独でほとんどの患者が慢性期を維持し、発症前と同様の生活を送ることができます。ただし、イマチニブを中止することはできません。イマチニブによる反応が不良な場合には、イマチニブの増量、あるいはイマチニブよりBCR-ABL融合タンパク質の働きを抑える作用が強いニロチニブまたはダサチニブへの変更が行われます。経過により同種造血幹細胞移植が選択される場合もあります。イマチニブによる副作用が強い場合には、ニロチニブまたはダサチニブへの変更が行われます。ニロチニブまたはダサチニブを内服する場合には、長期内服による副作用がわかっていないため慎重な経過観察が必要です。移行期の場合には、イマチニブ、ニロチニブまたはダサチニブ単独、あるいはシタラビンの併用により慢性期になってから、造血幹細胞移植が行われます。急性転化期の場合には、イマチニブまたはダサチニブにシタラビンの併用、あるいは急性白血病に準じた多剤併用療法が加えられ、慢性期になってから、造血幹細胞移植が行われます。

2009年10月31日更新 慶應義塾大学医学部小児科 嶋田博之