小児がん情報ステーション

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疾患別情報

神経芽腫(neuroblastoma)

略語・別の呼び方は?

神経芽腫が一般的ですが、神経芽細胞腫と呼ばれることもあります。

どのような病気ですか?

腎臓の上にある副腎、あるいは背骨のそばにある交感神経節という部位に生ずる悪性腫瘍です。自律神経の一つである交感神経のもととなる細胞が癌化した腫瘍であると考えられています。

頻度は?

小児がんの中で白血病、脳腫瘍に次いで発生頻度が高い腫瘍です。わが国での正確な発生数は明らかではありませんが、1年間に150~200例が発症すると考えられています。

原因は?

原因は明らかではありません。

生存率は?

神経芽腫には大きく性質の異なる腫瘍の集まりですので、全体の生存率を示すことはあまり意味を持ちません。以前から、乳児期にみつかる神経芽腫の多くは治りやすく、1歳以上でみつかる神経芽腫は治りにくいことが知られていました。近年の研究の結果、顕微鏡で見た組織型、神経芽腫細胞の遺伝子の検討から、神経芽腫の中には多くの種類があることがわかり、それに応じた治療が行われるようになってきました。
大まかに分けて生存率を示しますと、生後1歳までにみつかり「MYCN遺伝子の増幅を持たない」神経芽腫の治癒率(長期無病生存率)は80%以上です。一方、1歳6ヵ月以上でみつかり、転移を有する神経芽腫の治癒率は40%未満に留まっています。
治癒率は発症年齢、転移の有無、MYCN遺伝子の増幅の有無、のほかに切除が可能であるかどうか、抗癌剤への反応が良いかどうか、など多くの要素により異なります。

MYCN遺伝子

細胞の増殖に関係する遺伝子であり、いわゆるがん遺伝子のひとつです。MYCN遺伝子が増幅している神経芽腫は治癒率が低いことが知られています。

どのように診断しますか?

腫瘍の一部を手術で取って調べる「生検」によって神経芽腫は診断されます。多くの患者さんでは腫瘍から出される物質(腫瘍マーカー)が診断の補助となります。神経芽腫の場合、尿中のVMA、HVA、血液中のNSEが腫瘍マーカーとして知られています。これは、治療の反応をみるとき、あるいは再発がないかどうかを調べる際にも重要な検査となりますが、10%程度の患者さんではこれらの腫瘍マーカーの上昇がみられません。
腫瘍のひろがりを調べることも重要です。神経芽腫はリンパ節、骨、骨髄、肝臓、皮膚など全身に転移することがあるため、頭部、胸腹部のCT、MRI、アイソトープを用いたシンチグラム(MIBGシンチグラム、骨シンチグラム)などの評価が必要です。

どのような治療が行われますか?

治療はその治りにくさに応じて選択されます。
治癒する可能性の高い「低リスク群」に属する患者さんには、多くの場合、危険の少ない抗がん剤治療と手術が行われますが、手術による切除のみで経過をみられることもあります。また、治療を行わなくとも腫瘍が自然に小さくなる場合があることが知られており、その見極めも重要です。一方で低リスク群の患者さんの中にも治療に抵抗し治癒が得られない患者さんが混じっています。治療前の検査のみでは完全に腫瘍の性質(治癒の可能性)を判断できない場合があることに注意が必要です。
最も治癒率の低い「高リスク群」に属する患者さんでは、数種類の抗がん剤を組み合わせた化学療法、手術による腫瘍の切除、放射線治療が行われます。治療期間は6ヵ月~1年に及びます。